2011/12/12 公募増資をやった企業の株価はこうなる
この度の東日本大震災により、犠牲になられた方がたとご遺族の皆様に対し、
深くお悔やみを申し上げます。また、被害にあわれた方がたには、謹んでお
見舞い申し上げます。
1日も早く復興し、皆様がもとの生活に戻られますことを、心よりお祈り申
し上げます。
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講師:尾藤 峰男 びとうファイナンシャルサービス代表取締役
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米国CFA協会認定証券アナリスト、CFPR、日本証券アナリスト協会検定会員、
1級FP技能士、金融機関から完全に独立したFP・資産運用アドバイザーとして、
個人の金融資産や退職金の運用助言・ライフプランニングサービスを提供する。
2000年当社設立。グローバルな投資理論や外国株投資・国際分散投資への造詣
が深い。日本経済新聞、週刊東洋経済、日経マネーなどへのコメント多数。
日経CNBCにもたびたび出演。著書に「いまこそ始めよう 外国株投資入門」
日本経済新聞出版社。投資助言・代理業として関東財務局登録。
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グローバル・スタンダードの証券アナリスト資格CFAとFPの最上位国際
資格CFPをもつFP・資産運用アドバイザーの尾藤 峰男です。この週刊メ
ールマガジンは、読者の皆様のおかげさまで、第177号となりました。
このメルマガは、連載形式になっています。『株式』編、『投資信託』編、
『債券』編と続き、現在第4弾『資産運用』編となっています。お知り合いや
友人の方にも、ぜひ紹介してあげてください。
このメルマガでは、大切なお金の運用で皆さまのお役に立てるよう、その成功
へのステップを私、尾藤 峰男がわかりやすくお話していきます。金融機関か
ら完全独立のFP・資産運用アドバイザーだからこそ、本当に役に立つ情報を
お届けできます。これからも『本当はどうなの?』『本当のことを教えて!』
に答えるメルマガにしていきます。ぜひ、ご期待ください!!
私、尾藤 峰男は世界の金融業界・法曹界・会計士業界など誰もが認める世界
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■ メルマガ『資産運用』編
-公募増資をやった企業の株価はこうなる。-
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現在の日本株の惨状ぶりは、言葉に表せないほど、ひどいものです。拙著「いま
こそ始めよう外国株投資入門」でも書き連ねましたが、企業がそもそも株主に向
いていないということが、根本の問題です。取締役はほとんどが身内、株は持ち
合いで経営陣は安泰、敵対的買収と見るや買収防衛策でわざわざ垣根を作ってし
まう(買っていただかなくて結構というスタンス)、さらには、公募増資で株主
の持分が大幅に下がっても知らん振り。と、まぁー、上げれば切りがないほど、
日本の企業の株主に向いていない姿勢が、浮かび上がるのです。今回のオリンパ
スの問題を契機に、社外取締役の義務付け(こんなの当たり前のこと)が俎上に
上がると、経団連、米倉会長は、オリンパスと社外取締役の問題をいっしょにさ
れては困ると、早速反対の声を上げています。こんなことでは、日本の株式市場
がよくなるのは、当分期待できないとみて、やむをえないでしょう。
そこで、今週のメルマガでは、公募増資がどのように株価に影響しているかを、
見てみます。この結果は、いかに企業が既存株主をないがしろにしているかを、
如実に示すものです。
□ 公募増資を実施した企業の株価は惨憺たるもの
2009年~2010年1000億円以上の公募増資実施企業の株価騰落率
2008年末 2011/12/8 騰落率
日経平均 8859 8672 -2.1%
野村HD 729 265 -63.6%
東芝 366 338 -7.7%
三井住友FG 3760 2249 -40.2%
大和証券 526 264 -49.8%
みずほFG 257 107 -58.4%
全日空 354 223 -37.0%
NEC 297 171 -42.4%
日本郵船 545 192 -64.8%
日立製作所 345 428 +24.1%
三菱UFJ・FG 549 349 -36.4%
T&D・HD 3700 781 -78.9%
上記企業の平均下落率 -41.4%
NYダウ(円建て) 815590 947019 +16.1%
これらの企業は、2009年から2010年にかけて、1000億円を超える公募増資を行な
った企業です。この増資により、最低で20%以上発行株数が増加(最高は野村の
86%)しています。ということは、株主の持分がその割合だけ下がったというこ
とです。
その株価の騰落率を見ると、1企業(日立)を除いて、みな大幅に下落していま
す。平均して41%の下落です。さらに、それを同期間の日経平均の下落率-2%と
比較すれば、ものすごいアンダー・パフォーム(下落超)です。
このように、株主の持分が大幅に下がる公募増資を実施すると、理論的にも株価
は下がりますし、さらに、会社が株主重視をしていないとみなされ、株式投資も
敬遠されると考えられます。
さらに、円建てでニューヨーク・ダウに投資していると、同期間で16%も上がっ
ています。2008年末90円の時に買って、現在80円を切る超円高でも、日本株(日
経平均の-2.1%)より大幅にオーバー・パフォーム(上昇超)になっているわけで
す。
□ 公募増資をしたら、株主にお返ししようと考えるのが普通だが。
次に、公募増資を実施した企業が、その後どのように株主還元を行なっているか
を見てみましょう。常識的には、公募増資を実施して調達した資金で、設備投資
や研究開発に当て、業績を上げて増配し、株主に還元するというのが当たり前な
のですが、これら11の企業のうち、増配したのは2社のみです。この間にリー
マン・ショックがあるのは確かですが、それにしても公募増資を行なって、株主
は、株価は下がる、配当も減らされるでは、たまったものではありません。
公募増資実施前後の配当状況
2007/3 2011/3 増減配率
野村HD 44円 8円 -82%
東芝 11円 5円 -55%
三井住友FG 70円 100円 +43%
大和証券 28円 6円 -79%
みずほFG 7円 6円 -14%
全日空 3円 2円 -33%
NEC 8円 0円 無配
日本郵船 18円 11円 -39%
日立製作所 6円 8円 +33%
三菱UFJ・FG 11円 12円 +9%
T&D・HD 65円 45円 -31%
重ねてお伝えしますが、このような企業の株主還元の姿勢は、そう一朝一夕で変
わるものではありません。日本の企業の株主軽視の姿勢は、投資対象として日本
株の魅力が薄いということにつながるのです。それが、現在の株式市場の惨憺た
る有様となっているとみてよいでしょう。いつまでも、日本株オンリーではなく、
外国株に投資して、株主還元の厚さの恩恵を受けると、あらためて彼我の差を実
感できます。
さらに、日本の株主が、もっと声をあげ、企業の株主へのスタンスを変えさせる
ように働きかけなければ、いつまでたっても、日本の株式市場の不振は続くでし
ょう。
□ びとうファイナンシャルサービスは、きびしく企業を選別
ちょっと手前味噌になりますが、
1.びとうファイナンシャルサービスは、上記のような株主のことを考えない
企業(公募増資を実施した企業)を、これまで1社もすすめていません。
2.私どものアドバイスによる運用パフォーマンスは、外国株への投資により、
日本株との相対比較では、大幅なオーバー・パフォーム(上昇超)となっています。
いかがでしたか、今週のメルマガ。これからも私、尾藤 峰男は、メルマガ読者
の皆さんに、真に役に立つ「資産運用を成功に導く」情報を発信していきます。
ご期待ください!
それでは、皆さん、今週も充実した1週間でありますように!
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■ 編集後記:
野村が本日から募集する1700億円の劣後債。その名は、債務免除特約付劣後債。
なにやら、物騒な名前ですが、ある一定の状態になったら、元利金を返さなくて
いいという代物です。その一定の状態とは、野村が実質破綻したと金融庁が認定
した場合です。10日の日経によれば、公的資金注入を決めた場合には、元本や利
息を失う可能性があるとのことです。そんなに簡単に元本がなくなってしまった
ら、困りますね。この劣後債は、通常の劣後債よりさらにリスクが高いそうです。
そのため、自己資本の一部として算入できるということです。それでいて、5年
で利率2.24%。ちょっと、リスクの割には低すぎる気がします。さらに、野村の
自己資本比率は11年3月で273%。買う方は、ちょっと腰が引けますね。
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