2012/01/30 日本の経常赤字転落を防ぐ鍵は、外国株投資
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米国CFA協会認定証券アナリスト、CFPR、日本証券アナリスト協会検定会員、
1級FP技能士、金融機関から完全に独立したFP・資産運用アドバイザーとして、
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2000年当社設立。グローバルな投資理論や外国株投資・国際分散投資への造詣
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■ 毎週3分で、資産運用の成功へ導くメルマガ!:No.183(2012.1.30)■
グローバル・スタンダードの証券アナリスト資格CFAとFPの最上位国際
資格CFPをもつFP・資産運用アドバイザーの尾藤 峰男です。この週刊メ
ールマガジンは、読者の皆様のおかげさまで、第183号となりました。
このメルマガは、連載形式になっています。『株式』編、『投資信託』編、
『債券』編と続き、現在第4弾『資産運用』編となっています。お知り合いや
友人の方にも、ぜひ紹介してあげてください。
このメルマガでは、大切なお金の運用で皆さまのお役に立てるよう、その成功
へのステップを私、尾藤 峰男がわかりやすくお話していきます。金融機関か
ら完全独立のFP・資産運用アドバイザーだからこそ、本当に役に立つ情報を
お届けできます。これからも『本当はどうなの?』『本当のことを教えて!』
に答えるメルマガにしていきます。ぜひ、ご期待ください!!
私、尾藤 峰男は世界の金融業界・法曹界・会計士業界など誰もが認める世界
最高峰のグローバル・スタンダード資格、米国CFA証券アナリスト資格を有し
ています。日本発では得られない情報も、このメルマガでたくさん提供してい
きます。
米国CFA協会では、このようにいっています。
-CFA資格保有者といっしょにやることは、他のどの資産運用のプロとやって
も得ることができない心の安心を顧客にもたらす。
-CFA資格を保持しているということは、他のどの資産運用のプロでも決して
到達することのできないレベルで、お客様の事情や状況を詳細にわたり理解で
きる能力を持っていることを証明するものである。
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■ メルマガ『資産運用』編
-日本の経常赤字転落を防ぐ鍵は、外国株投資-
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かつて貿易黒字大国を誇った日本ですが、ついに、2011年は31年ぶりに貿易赤
字に転じました。この要因は、2011年の特殊事情を考慮しなければなりません。
すなわち、東日本大震災やタイの洪水で供給ラインに支障が出て、輸出が停滞
したこと、また原発事故の影響で火力発電用の液化天然ガスの輸入が急増した
ことや原油高によるものです。
しかし、この貿易赤字が定着しそうな雲行きです。
□ 貿易赤字定着が見込まれる背景
まず、原発が容易には再稼動せず、火力発電用燃料の輸入が高水準に続くこと
が見込まれます。また、このところの超円高で輸出競争力が対外的に落ちてい
ること、企業もこの円高に耐え切れず、海外に製造拠点を移し、国内から輸出
型の企業が少なくなりつつあります。さらに、産業の空洞化や高齢化による生
産年齢層の減少が、輸入を誘発する面もあります。
このように、わが日本経済は、構造的に輸出型経済ではなくなりつつあるので
す。
□ 貿易収支の赤字は、経常収支赤字化への道筋を作る。
貿易収支の赤字が続くと、次に懸念されるのは、いつ経常収支が赤字になるか
です。経常収支が黒字であれば、国内で生まれた稼ぎの範囲内で、国内の公的、
企業などの経済活動ができ、国全体でお金が余っている状態なのですが、予想
以上に早く経常赤字に転じるとの見方が強くなっています。2010年代半ば、す
なわち3,4年後には赤字に転じるとの予測も出てきています。
経常収支が赤字に転じることは、どういうことかといいますと、家計、企業、
政府の3つの全体で貯蓄が取り崩されたことを意味します。そうなると、政府が
新たに借金する場合に、国内だけではお金が足りず、海外に頼らないと借金を
まかないきれなくなります。ギリシャやイタリアも経常赤字国です。これらの
国で示されたように、海外の投資家が日本の国債を買う場合に1%の低金利では
とても受け入れず、もっとずっと高い金利を要求してくるでしょう。
□ 経常収支の赤字転落は、国債暴落をもたらす
日経によれば、「BRICs」という言葉の生みの親、ゴールドマン・サックスの
オニール氏は、今月中旬に出したレポートで「今後2,3年以内に、日本とイタ
リアの国債利回りはほぼ同じ水準になる」といっています。10年国債で見ると、
現在のイタリア国債の利率は6~7%、日本国債は1%程度で、「同じ水準」
は中間の3.5%。一方2011年度税収は41兆円、国債利払いは11兆円。1%の金利
上昇で利払い負担が10兆円増える計算で、2.5%も金利上昇すれば、財政はコン
トロール不能に陥ります。国債の価格は、単純計算で、25%下落することにな
り、そうなると、日本経済・金融・社会システムに甚大な影響を与えることは
明らかです。
市場で出ている日本の経常赤字転落の時期とオニール氏の日本国債の金利上昇
のタイミングは、驚くほど近いです。経常収支の赤字転落は、国債の暴落のト
リガーになるといってもよいでしょう。あるいは、それを見越して、マーケッ
トは国債価格に織り込み始めることも考えられます。
□ 経常収支赤字化を防ぐために、われわれはどうしたらいいか。
ここは、われわれが日本をこれからのあるべき姿にしていくためにも、非常に
重要なポイントです。あるいは、このピンチは逆に、今後のあるべき日本を作
っていくための大きなチャンスといってもよいのです。
経常収支には、貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支の4つがある
のですが、日本人の海外旅行が影響するサービス収支と途上国への資金援助を
表す経常移転収支は、構造的に赤字になります。そこで、貿易収支の赤字を埋
め、経常収支を黒字に保つには、所得収支の黒字を拡大する必要があります。
所得収支は、海外からの配当や利子収入です。これまでも黒字を保ち、経常収
支黒字に大きく貢献しているのですが、今後、さらにその黒字拡大が重要にな
ってきます。
日本の所得収支の黒字は、外国債など債券の利子収入に大きく偏っていて、昨
年1~10月の黒字額の5割を占めているそうです。また、海外からの配当収入の
源泉となる対外直接投資は、このところの円高で日本企業の海外M&Aが活発化
しているといっても、過去からの蓄積は、欧米に比べて大幅に低い水準にとど
まっています。10年末の対外直接投資残高を名目GDP比でみると、日本は15%
どまり。英国は75%、ドイツは43%、米国も33%で、日本の出遅れは明らかで
す。さらに収益性も課題で、10年の日本の対外直接投資の収益率は4.6%。米
国の8.9%、英国の7.5%にかなり見劣りします。(日経)
日本企業が対外直接投資や海外M&Aを磨いていかなければならないことは明ら
かですが、これを一朝一夕にしようとしても、ノウハウや民族性などの根深い
問題があり、努力して、すぐに大きく転換できるものではありません。
そこで、われわれが行なうべきことが見えてきます。
□ 個人金融資産や年金などの公的資金を、もっと外国株投資に向けよう!
所得収支を拡大し、経常収支の黒字を維持するためには、所得収支の中身を改
善する必要があります。日本の所得収支の黒字の5割は、外国債など債券の利
子収入とお話しましたが、これでは所得収支の改善につながる配当・利子収入
の拡大につながりません。利子・配当収入のうち配当収入の拡大が必要です。
現在は世界的な低金利で、利子収入は伸びません。また、長い目で見て資産を
効率的に増やせるのは、やはり株式です。株価の上昇のみならず、配当収入の
拡大が、期待できます。メルマガNo.178でお話したとおり、為替リスクも、外
債に比べ、かなり低くなります。中国やシンガポールなどの政府系ファンド
(いわゆるソブリン・ウェルス・ファンド)による株式投資も、日本は大いに
参考にするべきです。
98%が円資産になっている個人金融資産の外国株投資拡大やソブリン・ウェル
ス・ファンドの創設、年金資金の外国株投資率のアップなどにより、対外株式
投資を拡大し、配当収入の拡大を図ることが、経常黒字維持を迫られているい
まの日本に必要なのです。
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■ 編集後記:
三菱電機の防衛庁への過大請求が表面化し、本日の株価は651円(-112円、
-14.7%)まで急落。またかという不祥事です。オリンパスにしても、三菱電機
にしても、外人を含め、だれでも買いたくなる優良株です。それが、この始末。
次から次へと、多くの株主の資産を減らし続ける日本企業。一体いつになったら
株主に報いてくれるのでしょう。そろそろ株主は声を大にして、具体的に株主
代表訴訟や損害賠償請求訴訟などにより、企業に抗議するべき時期に来ている
と考えます。
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