拡大を続ける上場投資信託(ETF)は資産運用の便利なツール
ETFは資産運用の有用なツールとして、近年急速な拡大を続けています。
ETFは、もともと米国で1990年代に開発され、S&P500指数に連動するE
TF、次にニューヨーク・ダウに連動するETF,ナスダック指数に連動する
ETFが盛んに取引されていました。しかし本格的に残高、銘柄数ともに急拡
大したのは、2000年代に入ってからです。私ども、びとうファイナンシャルサ
ービスは、2003年からETFを国際分散投資の重要なツールとしてお客様にす
すめていますが、その当時の残高は2000億ドル程度でした。それが、爆発的な
拡大を続け、2011年3月には1兆4000億ドル(約109兆円)の残高に膨らんでいます。
□ ETFの特徴
ETFには、以下の特徴があります。
1. 日経平均、S&P500指数、エマージング・マーケット株価指数などの指数
(インデックスともいう)に連動するようにしている。
2.株と同じように、取引時間中は値が動いていて、その間いつでも取引ができ
る。また株と同じように信用取引ができ、空売りすることもできるので、日経平
均を空売りすることも可能になる。
3.指数を構成する銘柄を組入れるので、非常に多くの銘柄を持つ分散効果があ
る。全世界をカバーするETFになると、3000銘柄近く保有するETFもある。
分散すればするほど、リスク低減効果がある。
4.株式、債券、金、原油、コモディティ、不動産投資信託など、組入れ資産は
多岐にわたる。
5.株式ETFは、企業の株式を組入れる。株式ETFの種類は、国別、地域別、
業種別、環境、水、省エネルギーなどのテーマ別、企業規模別など、多岐にわた
る。
6.債券ETFでも、先進国国債、新興国債券、投資適格債券、投資不適格債券、
米国債のなかでも年限別など、さまざまである。
7.金ETFは、1銘柄のETFで657億ドルの残高を誇るものもあり、流動性が
高く、非常に有用な金への投資ツールになっている。
□ ETFの大きなメリット
ETFには、一般の投資信託に比べて、以下の大きなメリットがあります。
1.銀行や証券の店頭で販売される投資信託は、1日の一定時刻の基準価格での
み取引できるが、ETFは、取引所の取引時間中につく価格で取引ができる。
2.一般の投資信託に比べコストが安い。販売手数料が、一般の投資信託では
3.15%~4.2%程度かかるが、ETFはせいぜい1.5%にとどまり、オンライン
証券を使えばさらに大幅に安くできる。また、毎年かかる信託報酬(運用費用と
して残高から自動的に引かれる)は、一般の投資信託の場合、1.05~2.1%程度
かかるが、ETFの場合、安いもので0.09%、最も高いもので0.99%程度(平均
で約0.4%)と、大幅にコストが安い。毎年1%以上のコスト差は、時が経過する
と非常に大きいものになる。
3.指数に連動するように組入資産を入れるだけなので、また資産の流出入が比
較的安定しているため、資産を売買する取引頻度や取引額が少なく、それだけ取
引コストが抑えられる。ほとんどの資産は寝かしているだけなので、コストがか
からない。
4.株式ETFで、国別、地域別などのETFを購入すれば、簡単に低コストで
世界全域に投資することが可能。債券でも、全世界のさまざまな信用度の債券へ
の分散投資が可能になる。コモディティでも、原油、鉱物資源、農産物など、投
資しにくい資産への投資が容易にできる。各国の不動産への投資も、不動産ET
Fに投資することにより簡単にできる。一つの土地やビルへの集中投資、信用リ
スク、管理コストなどの心配がない。
5.ETFに組入れられている株式の配当金や債券の利金は、すべてETFの分
配金という形で分配され、元本を削って分配されることはなく、大変明解になっ
ている。
6.課税上、債券ETFでも株式投資信託の取扱いになり、債券を持っている場
合の利金が20%源泉徴収されるのに比べ、非常に有利である。株式と同じように、
証券の優遇税制がすべて使える。
□ 積極運用型がETFの受動運用型に勝てない理由
投資信託には、分類の仕方として、大変重要な分け方があります。一つは、基準
となる指数(ベンチマーク)を上回ろうとする運用方法(積極運用型、アクティ
ブ運用)、もう一つは、ベンチマークどおりに連動することを目指す運用方法(受
動運用型、パッシブ運用)です。
米国での調査では、10年間の運用成果で、70%の積極運用型の投資信託が、受動
運用型の投資信託に負けているという結果が出ています。このような結果になる
背景には、以下の要因が上げられます。
1.販売手数料や信託報酬が高く、運用する前の段階でコスト高になっていて、
運用成果の足を引っ張る。
2.積極型運用の場合、取引頻度や取引高が大きくなり、売り買いによる株価へ
のインパクトが大きくなり、安く売り、高く買う結果になる。
3.同様に、取引頻度や取引高が大きくなれば、売買手数料がかさんできて、運
用成果の足を引っ張る。
4.運用担当者の運用能力が長く市場平均を上回り続けることは、むずかしい。
5. リサーチ部門、運用管理部門、コンプライアンス(法令順守管理)部門など
の運営コストもついてくる。
結局、ETFなどの受動型運用投資信託の運用成果が勝るのは、ベンチマーク指
数どおりに運用することで市場平均の運用になり、取引頻度や取引高が少ないの
で取引コストが抑えられ、管理コストも少なく、さらに販売手数料や信託報酬が
安く、運用成果の足を引っ張らないというトータルのメリットが反映されるわけ
です。
積極型運用でベンチマーク指数を上回ろうとしても、それを上回る人がいれば、
必ず上回らない人がいて、さらに、長年ずっと上回り続けるのは、至難の業なの
です。それであれば、ずっと市場平均を維持し、コストを安くして安定した運用
成果を目指すほうが、長期の資産運用に向いているということになります。
なお、ここで強調しておきたいのは、証券会社や銀行は、ETFや指数連動型の
投資信託は手数料が安い(実入りが少ない)ので、お客様に積極的に勧めないと
いうことです。人気になっているテーマ(すでに高くなっている)で売りやすく、
さきほどの販売手数料3.15~4.2%、信託報酬1.5~2.1%程度の高いコスト(彼ら
にとって実入りがいい)の投資信託を、リスクがいくら高くても、どんどん勧め
るのです。また、一般のFPも多くは、ETFを勧めたがりません。手数料の一
部がキックバックされる契約先の金融機関の投資信託やヘッジファンドを勧めな
いと収入にならないからです。いつまでたっても、びとうファイナンシャルサービス
がすすめるETFは、お客様の前に出てこないのです。
また、個人でETFを買えばそれですむというものではなく、リスク許容度とリ
ターン目標や適切な分散の仕方、資産構成などを、非常に綿密に検討して、一貫
して長期に継続する必要があります。また、国内のETFと海外上場のETFでは使い
勝手に大きな差があります。私ども、びとうファイナンシャルサービスは、これ
らを十分勘案し、お客様にもっとも望ましい資産運用の形を提供しています。