『人はなぜお金で失敗するのか』G・ベルスキー&T・ギロビッチ著(日経ビジネス文庫)を読んで
こ の本は、ノーベル経済学賞を取った行動心理学を、わかりやすく解説した入門書です。特にこの書が参考になるのは、人間が投資行動をするときにどう考えるか、そしてどういう行動に出るかということをあらゆる角度から見ている点です。そしてその結果出てくる行動は、その多くが損失を助長するようになっているというのです。
さまざまな角度から見ているので、ここには書き切れませんが、その中で現在の市場でもっとも役に立ちそうな箇所を、ご紹介しましょう。きっと、現在のような市場で、どう見ていたらいいのかがわかると思いますよ。
それではいってみましょう!
●損失に過敏になると悪い結果を招くことがある。「損失の嫌悪」のために判断を誤りやすいことがもっとも明らかで、かつ重要なのは投資の分野である。短期的には、損失に特に過敏になることによってパニック売りが誘発され、株価は暴落する。ダウ・ジョーンズ工業平均株価は急落し、こうした損失の痛みに多くの投資家が過剰反応する。怪我をした人々が出血を止めようとするのだ。もちろん、問題はそうした無計画なやり方で株式市場からお金を引き上げれば、別の痛み-傷をなめているあいだに株価が上がったときの激痛-に襲われやすくなる。
正気になってから急いで市場に戻れば、損した分は取り返せるなどと思ったら大間違えだ。株は時間とともに一定の速度で上昇するように思えるが、実際の動きは発作的である。1年のうちに何度か、数日間で大きく値を上げるからだ。短期的な下落に反応してお金を引き上げれば、利益の出るその数日間を逃してしまう危険をおかすことになる。その危機は深刻である。
●アメリカの証券取引所の最近の研究によれば、中産階級の若い投資家の40%近くが投資収益を週に一回チェックするというのだから!それはなんとも多すぎる。投資を頻繁にチェックすればするほど、株や債券市場では避けられない相場の変動が目につくようになる。そしてそれに反応したい衝動に駆られるようになる。たいていの投資家にとって-実のところ、プロではないすべての投資家にとって-1年に1回ポートフォリオを点検すれば、資産配分に必要な調整をするのに十分である。それによって、自分の経済的な問題のために心の安らぎを奪われないですむ。
●お金がかかわる大きな決定をするとき、他の専門家の意見を聞いたり、他の人々に相談したりする重要性は、いくら強調してもしすぎることはない。
● 新聞やテレビの株式に関するニュースは気にしないほうがいい。会社の業績に注意しすぎる投資家は、ニュースを気にしない人々より成績が悪い。ニュースをまったく知らされなかった投資家は、絶え間なく-いいものも悪いものも-情報を受け取っていた人々よりいい成績を上げた。実際のところ、変動の激しい株を売買していた二つのグループでは、何も知らなかった投資家グループは、マスコミの影響を受けた投資家グループの二倍の利益を上げた。
● 少なくとも短期間で-1日単位、あるいは1年単位でも-会社の評価をするとき、投資家が的をはずすのは周知の事実だ。「情報のカスケード」-人々は周囲に流される傾向がある-のために、投資家はよいニュースにも悪いニュースにも過剰反応することが多い。人気のある会社の株価を高く評価しすぎ、評判の悪い会社の株価を低く評価しすぎるのだ。投資家が極端に反応すると-ニューヨーク証券取引所の典型的な株価の動きを超えて上下動した株によれば-その反応は時間とともに逆になる。
●逆張り投資家になる機会を探す。
いかがですか。権威がいうことは少し違いますね。まさに真実が隠されていると思いませんか?皆さん、こうすれば乗り切れますよ、きっと!!