2010/12/20 債券は天の邪鬼?景気が悪くなると、債券市場は上昇する
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■ 毎週3分で、資産運用の成功へ導くメルマガ!:No.130(2010.12.20)■
グローバルスタンダードの証券アナリスト資格CFAとFPの最上位国際資格
CFPをもつFP・資産運用アドバイザーの尾藤 峰男です。この週刊メールマ
ガジンは、読者の皆様のおかげさまで、第130号となりました。
このメルマガは、連載形式になっています。『株式』編、『投資信託』編と続
き、現在第3弾として、『債券』編となっています。お知り合いや友人の方に
も、ぜひ紹介してあげてください。
このメルマガでは、大切なお金の運用で皆さまのお役に立てるよう、その成功
へのステップを私、尾藤 峰男がわかりやすくお話していきます。金融機関か
ら完全独立のFP・資産運用アドバイザーだからこそ、本当に役に立つ情報をお
届けできます。これからも『本当はどうなの?』『本当のことを教えて!』に
答えるメルマガにしていきます。ぜひ、ご期待ください!!
私、尾藤 峰男は世界の金融業界・法曹界・会計士業界など誰もが認める世界
最高峰のグローバルスタンダード資格、米国CFA証券アナリスト資格を有して
います。日本発では得られない情報も、このメルマガでたくさん提供していき
ます。
米国CFA協会では、このようにいっています。
-CFA資格保有者といっしょにやることは、他のどの資産運用のプロとやって
も得ることができない心の安心を顧客にもたらす。
-CFA資格を保持しているということは、他のどの資産運用のプロでも決して
到達することのできないレベルで、お客様の事情や状況を詳細にわたり理解で
きる能力を持っていることを証明するものである。
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■ メルマガ『債券』編
債券は天の邪鬼?
-景気が悪くなると、債券市場は上昇する-
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株式市場は景気が悪くなると下落することが多いのですが、債券市場は上昇し
ます。債券トレーダーが、景気が悪くなってくると、喜ぶというのも妙な気が
しますが、一部、的を射た見方といってよいでしょう。さて、今週のメルマガ
では、債券の価格が金利の上下変動によってどう動くかを、わかりやすくお話
しましょう。
□ 金利が上がると債券価格が下がる。金利が下がると債券価格は上がる。
「金利が上がると債券の価格が下がる」ことが、ぴんと来ない人が意外に多い
のです。金利が上がればいいと思う人がいますが、これから債券を買う人にと
っては、金利が上がるのはいいのですが、現在債券を持っている人にとっては、
よくないのです。「どうしてか」をお話しましょう。なお、ここでの債券は、
満期まで固定利率の債券のことをいいます。
ここで、10年満期、発行価格100円、利率1%の債券があるとします。
3年後に、同じ発行体で7年満期、発行価格100円、利率3%の債券が発行
されたとします。
3年前に出た10年満期の債券は、3年後には7年満期になっています。3年
後に発行された上の債券と違うのは、利率だけです。利率が違うことによって、
3年前に発行された債券の価格が影響を受けます。そのメカニズムを、ここで
説明しましょう。
同じ時点で「3%、満期7年、発行価格100円の債券」に対して、「1%、
満期7年の債券」は下のようにして、価格が調整されます。
利率3%、満期7年の債券 発行価格100円
利率1%、満期7年(10年債だが、すでに3年経過)、当初発行価格100円
今後7年間でもらえる利金の差額は(3%-1%)×7年=14円
この14円分を、債券の価格を下げることによって、同じ金額がもらえるよう
に調整します。発行価格を100円から86円に下がることによって、現在
86円で買って満期に100円で返してもらえれば、1%の利金×7年+14円
=21円で3%(×7年)の債券と同じ金額をもらえることになります。ただ
し、債券価格が動くメカニズムを説明するために、この計算はやや単純化して
います。
このように、3年後に金利が2%上昇しますと、持っている債券の元本が14
円も下落するのですから、債券は安心と思っていると、思わぬ損失を被ってし
まいます。
それでは、今度は金利が下落したら、どうなるでしょう。3年後に、同じ発行
体で「0.5%、満期7年、発行価格100円」の債券が発行されたとします。
3年前に発行された「1%、満期10年、発行価格100円」の債券の価格は、
どう調整されるでしょう。
今後7年間でもらえる利金の差額は(0.5%-1%)×7年=-3.5円
余計にもらえる3.5円分を価格に上乗せし、103円50銭に調整し、
103円50銭で買うことにより、多くもらえる利金分を価格で調整するわけ
です。このため、当初100円で買った人にとっては、3年後元本が
103.5円に上昇していることになります。
ところで、この債券が5年債でしたら、3年後どうなるでしょう。3年後あと
2年となり、その時2年債が3%とした場合、(3%-1%)×2年=4円分
を100円から引いた96円となり、3年後の2年債の利率が0.5%とした
場合には(0.5%-1%)×2年=-1円分を100円に上乗せして101
円となるわけです。
このように10年債では、5年債より同じ金利でも価格の上げ下げの幅が大き
くなることに注目しましょう。価格変動幅が大きくなるということは、それだ
け金利変動に対するリスクが高くなるということです。この例で、10年債の
14円と5年債の4円では、ずいぶん変動幅が違います。
金利が上がるとすでに発行されている債券の価格は下がり、金利が下がると債
券の価格は上がるメカニズムを理解していただけましたでしょうか。
□ どうして金利が上がったり、下がったりするのか
いまはゼロ金利ともいえる超低金利で、利金がもらえるという感覚がなくなっ
て、久しい状態が続いています。これは、大変残念なことです。一昔前には、
金利が6%、8%という時期もあったのです。それはともかくとして、どうし
て金利が上がり、どうして金利が下がるかを見てみましょう。
金利が動く主な要因は、景気と物価といってよいでしょう。
まずどうして金利が上がるかを見てみましょう。
景気がよくなると
・ 企業は投資を増やす→資金ニーズが強まる→借り入れ金利が上がる→
金利が上がる
・ 個人は消費を増やす→商品の値上げがしやすくなる→インフレになる
→金利が上がる
景気が悪くなると
・ 企業は投資を減らす→資金ニーズが減る→借り入れ金利が下がる→金利が
下がる
・ 個人は消費を減らす→商品の値下げに向かう→デフレになる→金利が下が
る
このほかにも金利を動かす要因は、さまざまなものがあります。経済成長率、
日銀の金融政策、為替動向、株式市場、需給要因などです。これらが複合的に
働いて、金利が動きます。
簡単に、いまの超低金利の状況を、上の金利変動要因に当てはめますと、以下
のようになるでしょう。
・ 低い経済成長率→低金利
・ 景気が悪いので日銀が金融緩和政策→低金利
・ 円安誘導→低金利
・ 安い株式市場→低金利
・ 金融機関の積極的な債券買い→低金利
□ 債券を買うかどうかは、今後の金利動向の見方による
固定利率の債券を買うかどうかの判断では、今後金利が上がると思えば債券の
価格は下がると見ているのですから、買うのはやめるべきで、これから金利は
下がると思えば債券の価格は上がると見ているのですから、買いに向かうべき
という図式が成り立ちます。もちろん1%の金利で10年間持っていると覚悟
を決めれば、途中の価格変動にかかわらず、10年後には元本は返ってきます。
ただし、だからといってこれで安心してはいけません。元本が戻ってきても、
財産がなくなるような、とんでもない大損をすることがあります。
□ インフレが大敵
多少極端ですが、1%、10年満期の債券を買って、仮に10年後インフレで
物価が上昇し、2倍になった場合、たとえば10年前の100円の価値は、
50円にしかなりません。長い期間の固定利率の債券は、途中の利率変更で物
価水準の上昇を調整できないため、インフレリスクが大変高くなり、満期時の
物価水準の影響をもろに受けてしまいます。
このため、今後物価が上昇すると考えたら、固定利率の債券は買うべきではな
いのです。戦後ハイパーインフレによって、6、7年で物価が100倍以上高
騰した時に国債の価格が暴落し、紙くず同然になってしまったというきびしい
歴史的事実があることは、記憶にとどめておくべきでしょう。
□ 変動利率の債券は、価格変動のリスクは少ない
これまで固定利率の債券のお話をしてきましたが、変動利率の債券の話も、こ
こでしておきましょう。
変動利率とは、利払いの都度、支払う利率を決めるというものです。したがっ
て、利率が固定されていることはなく、あらかじめどう支払い金利をきめるか
の取り決めをしておいて、市場の金利水準を反映した利率が、利払い時点で決
められます。なお、半年に1回の利払いの場合、その開始時点で6ヵ月後に支
払う利率が決まるケースが多いようです。
このように、10年満期の変動利付き債を購入したあと、始めの利払いの時に
1%の利率であっても、5年後に市場金利が上昇して5%の利払いになるとい
うように、利率が変動します。そのため、固定利率の債券のように、金利の変
動を価格で調整する必要があまりなく、価格の変動リスクが少なくなります。
したがいまして、これから金利が上がるだろうと見るときには、変動利率の債
券を買うべきなのです。一方、これから金利は下がるだろうと見るときには、
固定利率の債券を買うべきということになります。
そして、ここで特に強調しておきたいことは、1%程度の利回りの10年国債
が10年後どうなっているか、十分用心してかかるべきということです。現在、
国債残高は急増中で、財政破綻懸念がしばしば指摘されています。国債の発行
がいまのような低い利率ではできなくなり、大幅に上昇した利率になると、す
でに発行された国債の価格は大幅に下がります。また、満期の時期には、大幅
に物価が上昇していることも予想されます。
その観点からは、国内債券では10年レベルの長期の債券はリスクが高く、
2、3年程度にとどめておくべきでは、と私、尾藤はおすすめします。
いかがでしたか。債券の価格変動メカニズム、ご理解いただけましたでしょう
か。さて、来週は、金利というもので忘れてはいけない非常に重要なポイント
をお話しましょう。ヒントは「本当の金利とは?」というところでしょうか。
すでにうすうすお分かりの方もいらっしゃると思いますが、皆さんにとって、
大変重要です。
それでは、本年最後のメルマガをお楽しみに!!
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■ 編集後記:
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