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2011/01/17 外債の為替リスクは、どう考えたらいいの?

2011/01/17 外債の為替リスクは、どう考えたらいいの?

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■ 毎週3分で、資産運用の成功へ導くメルマガ!:No.133(2011.1.17)■

グローバルスタンダードの証券アナリスト資格CFAとFPの最上位国際資格
CFPをもつFP・資産運用アドバイザーの尾藤 峰男です。この週刊メール
マガジンは、読者の皆様のおかげさまで、第133号となりました。

このメルマガは、連載形式になっています。『株式』編、『投資信託』編と続
き、現在第3弾として、『債券』編となっています。お知り合いや友人の方に
も、ぜひ紹介してあげてください。

このメルマガでは、大切なお金の運用で皆さまのお役に立てるよう、その成功
へのステップを私、尾藤 峰男がわかりやすくお話していきます。金融機関か
ら完全独立のFP・資産運用アドバイザーだからこそ、本当に役に立つ情報を
お届けできます。これからも『本当はどうなの?』『本当のことを教えて!』
に答えるメルマガにしていきます。ぜひ、ご期待ください!! 

私、尾藤 峰男は世界の金融業界・法曹界・会計士業界など誰もが認める世界
最高峰のグローバルスタンダード資格、米国CFA証券アナリスト資格を有して
います。日本発では得られない情報も、このメルマガでたくさん提供していき
ます。

米国CFA協会では、このようにいっています。

-CFA資格保有者といっしょにやることは、他のどの資産運用のプロとやって
も得ることができない心の安心を顧客にもたらす。

-CFA資格を保持しているということは、他のどの資産運用のプロでも決して
到達することのできないレベルで、お客様の事情や状況を詳細にわたり理解で
きる能力を持っていることを証明するものである。

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■ メルマガ『債券』編

    -外債の為替リスクは、どう考えたらいいの?-

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たくさんの個人の人たちは、毎月分配型だとか、通貨選択型とかで、ブラジル
レアル建て、南アフリカランド建てなど高金利通貨の投資信託を、大変な勢い
で買っていますが、これって、大丈夫なのでしょうか?退職金など、虎の子の
お金で買っていませんか?
 
また、高金利に魅せられて、トルコリラやブラジルレアルなどの債券を買う人
もたくさん見かけますが、為替リスクをどう考えているのでしょう。為替リス
クを承知の上で、高金利を得るため買っている人もいるでしょうし、あわよく
ば為替差益も取れるのでは、と両得を狙って買っている人も多いことでしょう。

一度通貨危機でもあると、ドスーンと通貨安、高金利になり、これらの債券が
大暴落することも大いにありえるのですが、そういうリスクを承知して買って
いるのでしょうか。

そこで今回は、「外債の為替リスクを、どう考えたらいいか」ということにつ
いて、お話しましょう。

□ 金利が高いのは、見せかけだけ・・・

こういうと、また誤解を招きそうなのですが、そう考えておいた方が、あとあ
と大損をした時、落ち込む度合いが少なくなるのでは、という思いからです。
また、ある意味では、本当に見せかけともいえるのです。たとえば、次のよう
な債券が、週末の新聞広告に出ていました。

ブラジルレアル建てブラジル国債 2028年1月10日満期(17年債)利回り9.36% 

この金利は、大変魅力的に見えますね。毎年9%以上の金利がもらえるのであ
れば、いまの日本の金利と比べて、雲泥の差です。日本の17年国債の利回りは、
現在1.8%程度ですから、実に5倍以上!多少の為替リスクがあっても、買
いたくなる気持ちは、十分わかります。

しかし皆さん、ここでよく考えてほしいのは、ただで儲かるおいしい話はない
ということです。ただで儲かる部分があるのであれば、それにみんなが殺到し、
あっという間に、その儲かる部分はなくなるという市場の力が働きます。マー
ケットは海千山千のプロが、0.01%の利ざやを狙ってうごめいている世界です。

素人の皆さんが、ただで儲かる余地はまったくないといってよいでしょう。で
は何があるかというと、その高い金利に見合うだけの高いリスクです。
 
□ 高い金利と円での元本や利金の減少は、コインの表と裏

上のブラジル国債でブラジルレアル建ての支払いは、ブラジル政府が債務不履
行にならなければ、保証されています。しかし、日本で買う皆さんは、円での
受取を予定している人がほとんどでしょう。その場合に、どういうことが起き
るか。それは、円とブラジルレアルの為替レートがどうなるかにかかってきま
す。

満期まで、現在の1ブラジルレアル50円がずっと同じであれば、高金利を円で
受け取れて、こんないいことはないのですが、市場の力がそれを許しません。
その金利差を埋める力が働きます。その力がどこに働くかといいますと、為替
レートに対してです。

為替レートは、この金利差を打ち消すように動くため、以下のような計算式が
出てきます。それ以外にも通貨の需給関係、経済状況、金融政策などの要因か
ら、為替レートは変動しますが、根底には、この計算式があります。

将来の為替レート=
現在の為替レート×(1+国内金利)年数の累乗÷(1+外国金利)年数の累乗

上の例をこの計算式に当てはめます。
現在の為替レート=50円、日本国内の金利=1.8% ブラジルの金利=9.36%
満期17年
50円×(1+0.018)17乗÷(1+0.0936)17乗=14.8円

この14.8円ってなんでしょう。50円から比べるとやけに小さい数字です
が、実はこれは、理論的な17年後の1ブラジルレアルの円レートなのです。
あるいは、現在17年後の為替予約をした場合に適用されるレートに近い数字、
といってよいでしょう。

ということは、どういうことか。理論的にいうと、あるいは市場の力が働くと、
50万円払ってこのブラジル国債を買っても、満期には14.8万円の手取り
にしかならないということです。

その間に9.36%もの利金が出ますが、その支払いの時々でも、為替レート
は、このように理論的にはなりますから、円での手取りはどんどん減っていく
ことが想定されます。

そして理論的には、満期まで持っていたとして、どういうことが起きるかとい
いますと、「1.8%の日本の17年国債をもっているのと同じこと」となり
ます。ただし、2カ国の国債の信用度の差や残存期間中の格付け、財政状況の
変化は、考慮していません。

□ 退職金や虎の子のお金で、高金利の投信や債券をまとめ買いすべきではない。

1ブラジルレアルが、2008年7月の68円から2008年12月に39円
に数ヶ月で急落しています。これが何を表しているかといいますと、半年足ら
ずで、円での元本が40%以上減ったということです。また、2008年1月
から現在まで見ても、62円から50円程度まで下落し、円での元本は20%
減っていて、いわば順調に、金利差を為替レートで調整しているわけです。

いわゆる高金利通貨は、こういう通貨安を常に伴います。そしてアジア通貨危
機、ロシア通貨危機などのときに、為替・債券ともこれらの市場が大幅安にな
ったことがあるように、怪我をする時の度合いが、3分の1、4分の1あるい
は10分の1というほどの桁外れになるリスクがあるということを、忘れては
いけません。

理論的に「日本の国債、17年1.8%を持っているのと同じ」でいながら、
元本がさらにそこから数分の1になるようなリスクをかかえているのなら、買
わない方がましということです。

ましてや、高利回りのリスクの高い債券をたくさん組入れ、それをさらにブラ
ジルレアルや南アフリカランド通貨建てなどに組み替え、毎月分配型投資信託
にした商品が、1兆円を越えて集まっているというのですから、「開いた口が
ふさがらない」状況です。

退職金や虎の子のお金を、こういう高金利商品に当てている人が多いと思いま
すが、一言でいえば、遊び金程度(数十万円?)で十分です。まじめにいって、
お金をパチンコや競馬で捨ててもいい程度にしておくということです。

思い当たる人もきっといることでしょう。さて、どうしたものかと思案されて
いる方は、どうぞ、当メルマガ冒頭でご案内しております「新春セミナー」や
無料相談にお申し込みください。きっと「やはり、そうすべきだ!」という情
報が得られることを保証します!

また忘れてならないのが、証券会社や銀行は売りやすいものはなんでも売ると
いうことです。お客様に高いリスクがあっても、売りやすく自分たちに実入り
がいいものはどんどん売るということを、忘れてはいけません。実入りがいい
といえば、上の1兆円以上を集めた高金利投資信託の販売手数料は、4.2%
と、債券でありながらとんでもない高率です。債券の投資信託ですと、通常は
どんなに高くとも2.1%までです。よくもこんなに高い手数料を取るものだ
と、その証券会社と運用会社のモラルを疑います。さらに、ここで心配される
のは、この手数料率をきちんと説明して売っているかも疑問です。そんな高い
手数料の投資信託を買わなくても、ほとんど手数料がかからずに、同じような
投資信託が買えます。

さて、また横路にそれてしまいましたが、いかがでしたか、外債の為替リスク。
将来の理論的な為替レートはこう計算されるのか、と納得いただければ、うれ
しいかぎりです。皆さん、ただ飯は、ありません。「ただ(だと思っているも
の)より高い(危険な)ものはない」です。

さて、次回は、為替リスクでも、外債と外国株ではリスクの度合いが大きく違
うということをお話しましょう。どちらかリスクが低いか、きっと「目からう
ろこ」の結果になることでしょう。どうぞお楽しみに!
今週が、皆様にとってすばらしい週になりますように、お祈りしています! 
 
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■ 編集後記:

今年の日本のもっとも大事なテーマは、おそらくTPP(環太平洋経済連携協定)
参加でしょう。今年6月に、菅首相が最終判断するということですが、無論TPP
参加の決断をしてほしいものです。日本は今後少子・高齢化、人口減少という
大きな転換点にあり、経済構造も急激な変化が求められるわけですが、日本が
いまもっとも必要なのでは、外からの力です。内からは何もできないのであれ
ば、外から治してもらう以外にありません。それを体よくできるのが、TPP参加
です。渡りに船の絶好の機会なのです。

国内市場が縮小するのであれば、あらゆるものが外に打って出なければなりま
せん。農林漁業を含めて、それをできるようにしてくれるのが、TPPです。これ
まで内需型であった企業も中小企業も、どんどん海外に生きる途を切り開き始
めました。大変いい傾向です。政治を当てにしても時間の無駄とわかったこと
もあるのでしょう。日本が生きていける道は、海外進出です。その意味では、
皆さんのお金も「外国投資」ですよ。拙著「いまこそ始めよう 外国株投資入
門」はその意味を込めて、上梓したものです。
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           米国CFA協会認定証券アナリスト
           日本証券アナリスト協会検定会員
           1級ファイナンシャルプランニング技能士
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