2014/06/02 投資信託の運用評価は、同じ基準のベンチマークと比較すべき
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－投資信託の運用評価は、同じ基準のベンチマークと比較すべき－
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講師：尾藤 峰男 びとうファイナンシャルサービス代表取締役
プロフィール：
米国CFA協会認定証券アナリスト、CFPR、日本証券アナリスト協会検定
会員、1級FP技能士の4つの最高難度の資格を持つ唯一の日本人。
金融機関から完全独立のFP・資産運用アドバイザーとして、個人の金融
資産や退職金の運用助言・ライフプランニングサービスを提供する。
2000年当社設立。グローバルな投資理論や外国株投資・国際分散投資
への造詣が深い。日本経済新聞、週刊東洋経済、日経マネーなどへの
コメント多数。TV東京・日経CNBCにもたびたび出演。著書に「いまこそ始
めよう 外国株投資入門」日本経済新聞出版社。
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グローバル・スタンダードの証券アナリスト資格ＣＦＡとＦＰの最上位国際
資格ＣＦＰをもつFP・資産運用アドバイザーの尾藤峰男です。この週刊
メールマガジンは、読者の皆様のおかげさまで、第287号となりました。
このメルマガでは、大切なお金の運用で皆さまのお役に立てるよう、その
成功へのステップを私、尾藤 峰男がわかりやすくお話していきます。金融
機関から完全独立のFP・資産運用アドバイザーだからこそ、本当に役に
立つ情報をお届けできます。これからも『本当はどうなの？』『本当のことを
教えて！』に答えるメルマガにしていきます。ぜひ、ご期待ください！！
私、尾藤 峰男は世界の金融業界・法曹界・会計士業界など誰もが認め
る世界最高峰のグローバル・スタンダード資格、米国CFA証券アナリスト
資格を有しています。その資格管理団体である米国CFA協会は、次の
ようにいっています。
－CFA資格保有者といっしょにやることは、他のどの資産運用のプロとや
っても得ることができない心の安心を顧客にもたらす。
－CFA資格を保持しているということは、他のどの資産運用のプロでも決
して到達することのできないレベルで、お客様の事情や状況を詳細にわた
り理解できる能力を持っていることを証明するものである。
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■ メルマガ『資産運用』編
－投資信託の運用評価は、同じ基準のベンチマークと比較すべき－
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２つのものの性能を比較するのに、同じ条件で比較するのは当然です。た
とえば、東京から大阪まで新幹線でいくとして、どれだけ時間がかかるか比
較するのに、ノンストップであればノンストップの新幹線同士で、比較します。
そして早く着く新幹線の方が、性能がいいということになるでしょう。ノンスト
ップの新幹線と横浜、静岡、岐阜、名古屋、京都に止まる新幹線を比較し
て、ノンストップの新幹線のほうが早く着くから、こちらのほうの性能がいい
ということにはなりません。
□ 投資信託の運用評価は、比較するベンチマークと同じ基準で行う必要がある。
投資信託の運用評価をする場合、ノンストップの新幹線と各駅停車の新幹
線で比較して、ノンストップの新幹線のほうが早く着くから性能がいいという
ような表示を、販売用資料や運用報告書にしてはいけません。あくまでも、
ノンストップであればノンストップ同士、各駅停車であれば各駅停車同士の
新幹線を比較して、どちらの性能がいいかを示すべきです。一方の新幹線
が各駅停車であることがわからず、両方ともノンストップと誤解して購入する
側が投資判断を下してしまうような表示をしてはいけません。ある投資信託
が配当金再投資の運用実績であれば、その投資信託のベンチマーク（比較
対象の株価指数）も配当金再投資をベースにして比較評価をしなければな
りません。
□ 投資信託とベンチマークの基準が違えば、どちらかがいいのは当たり前。
ここに、2つの投資信託を紹介しましょう。両方とも、積み立て投資やNISA
口座での活用に大変よい投資信託です。ひとつはSMTインデックスシリーズ、
もうひとつはイーマクシス・インデックスファンド・シリーズ。この２つのシリー
ズともに、日本株式、日本債券、先進国株式、先進国債券、新興国株式、
新興国債券などで運用する投資信託があり、それぞれの資産ごとにベンチ
マークがあります。ここで先進国株式について見てみましょう。SMTシリーズ
は「グローバル株式」、イーマクシスは「先進国株式」と呼び、両方ともベンチ
マークは同じMSCIコクサイ・インデックス（除く日本、円ベース）です。そして
同じように、このベンチマークと当該投資信託の期間別騰落率を比較してい
ます。ここではSMTシリーズ販売用資料（マンスリー・レポート）の「グローバ
ル株式インデックス」とベンチマークの比較の表（4月30日現在）を取り上げ
ます。4月30日現在の期間別騰落率の比較表は、以下のような表示になっ
ています。
期間別騰落率：
比較の対象 過去6ヶ月 1年 3年
当該ファンド 10.99％ 24.34％ 63.31％
ベンチマーク 10.33％ 21.82％ 53.63％
2つの比較差 0.67％ 2.52％ 9.69％
騰落率は、分配金（税引前）を再投資したものとして計算しています。
ところで、この騰落率は「分配金（税引前）を再投資したものと計算していま
す」とありますから、当然ベンチマークも「組入れた株式の配当金を受け取
り再投資した騰落率」と理解するでしょう。ところが、運用会社の三井住友
トラストアセットマネジメントに確認したところ、ベンチマークは「配当金を含
まないベースの騰落率」なのです。グローバル株式インデックスファンドのみ、
分配金を受け取り再投資で騰落率を出しているのです。そもそも一方は分
配金を受け取り再投資しているのに対し、一方は配当金を含まないベース
で比較するのですから、配当金を受け取り再投資し、複利運用しているファ
ンドのほうが配当金を含まないベンチマークよりいいのは当たり前です。
□ 同じ基準で比較すれば、ベンチマークのほうが当然いい。
この表が掲載されている販売用資料は、購入を検討する場合に必ず目を
通す資料です。白黒文字の運用報告書より、かなり読みやすくなっていま
す。その資料が大きな誤解を生む表示になっているとしたら、重大な問題
です。
ここでベンチマークも、組入れ株式の配当金を受け取り再投資したベース
で私が計算した数値で比較してみます。なお、この数値は正式な配当金
再投資のベンチマークの数値ではないので誤差があることをお断りしてお
きます。
比較の対象 過去6ヶ月 1年 3年
当該ファンド 10.99％ 24.34％ 63.31％
ベンチマーク 11.64％ 25.11％ 66.14％
2つの比較差 -0.65％ -0.77％ -2.83％
いずれの期間でも、ベンチマークのほうが当該ファンドを上回っています。
最初の表とはまったく正反対の運用パフォーマンスです。販売用資料の
表記は、同じ比較ベースのこちらの数値を出さなければなりません。最初
の表が記載された販売用資料を見た人の中には、「きっとこのファンドは
ベンチマークより、よいパフォーマンスを出している」と判断して購入を決
める人は多いと考えられます。ところが同じベースに合わせて比較すると、
このような正反対の結果になるのですから、そのような表示をすることは、
大いに問題があるといわざるを得ません。
まさに、東京から大阪までノンストップで行く新幹線と都道府県所在地の
停車駅に止まりながら行く新幹線で、どちらが早く大阪に着くかを比較し
ているようなものです。金融商品に関する販売用資料や運用報告書の
表記には、このような購入者の購入決定に誤った判断を与えるおそれ
がある表記が他にも多くあると考えられます。国民の資産形成が健全に
行われるために、このような顧客に提供する金融商品資料の表記の是
正が早急に求められます。
いかがでしたか、今週のメールマガジン。これからも私、尾藤 峰男は、メル
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いきます。ご期待ください！
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■ 編集後記：
6月に入った途端、急に夏の暑さがやってきました。つい先日は「春なのに
やけに寒いな」といっていたのが、うそのようです。我が家でも、急な暑さ
に分厚いトレーナーは放り出し、やおら扇風機のクリーニング、クーラー
のフィルター掃除と、どたばた騒ぎです。やはり自然というものは偉大で
すね。それに振り回される人間は、まさにひとつの生き物。自然の中で生
かされているのをつくづくと感じます。
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